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万引き弁償「厳罰化」 店が警備費上乗せ請求(31日)

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各地のスーパーや商店が、万引き被害への対策に苦慮している。いっこうに減らない被害に、万引き対応に要した人件費まで、店側が客に請求する動きが広がっている。

 4月下旬の午後7時、埼玉県中部にある大型スーパーの食品売り場は、買い物客でごった返していた。「万引きGメン」の保安員原智美さん(27)=警備会社「SPユニオン・ジャパン」所属=が客の一人に目をとめた。

 「あの人、やりますよ」 精算済みのレジ袋を買い物かごに入れた中年男が、不自然にきょろきょろしている。牛肉をかごに入れ、人気のない隅に移動し、肉をレジ袋の中へ移した。同じ手口で、牛乳や野菜を次々とレジ袋に入れていった。

 原さんは後をつけ、男が店を出た瞬間、腕をつかんだ。「レジを通さなかった商品がありますね?」 「ちゃんと買ったよ」

 「うそ! 防犯カメラに映ってますよ」男は観念した。被害品は15点、計6262円。事務所で男は「身分証も金もない」と言ったが、駆けつけた警察官が調べると、10万円近く入った財布と免許証があった。

 店長が怒りを爆発させた。「うそをつくな。この間にも私たちの人件費がかかってるんだ」。だが、請求したのは商品代のみだった。

 「初犯じゃないのは分かっている。過去の被害も取り返したいが、証拠がない」と、店長はため息をついた。この日6時間半勤務した原さんは、ほかに50代の女性と60代の女性の万引きも見つけた。被害額は計1万288円。すべて「回収」した。

 3人以外に少なくとも10~15人の万引き客がいたのは間違いないというが、1人の処理に数時間かかり、この日は3人がやっと。常習者も多く、原さんに7回も捕まった者もいる。

同店の万引き被害は年2千数百万円。この警備会社は、Gメン1人あたり1日1万7千~2万5千円を請求しているが、店側の被害が減る気配はいっこうにない、と店長は言う。

 警察庁によると、2009年の全国の万引き認知件数は14万9892件と、前年比で3.1%増。今年も1~4月だけで4万9374件にのぼる。 業を煮やした小売店の中には、「厳罰化」に乗り出すところもある。

 中部地方を中心にチェーン展開する書店の三洋堂(名古屋市)は05年8月から、万引き客に対し、商品代に加え、監視し始めてから警察に引き渡すまでの人件費の請求を始めた。全約90店で、04年に売り上げの1.11%を占めた万引きを主とする損失率が、07年には0.73%に減った。

 ディスカウント店20店を展開するPLANT(福井県)も、警察の勧めで08年7月から同様に人件費の請求を始め、被害が半減した。それでも回収額は約2年間で100万円に満たないという。

 岡山県倉敷市では、被害弁償に訪れた万引き客から、推測ではじき出した過去の被害額まで脅し取ったとして、スーパーの店長や「万引きGメン」と呼ばれる保安員らが恐喝罪で今月起訴された。

 このスーパーを経営するトライアルカンパニー(福岡市)の説明や同社の内部文書によると、同社の万引き被害額は年10億円、警備費用に年5億円を投じている。同社は昨年11月、全店舗と複数の警備会社に文書で人件費の請求を指示。時給で「本部管理職3千円、店長2500円、派遣警備員1500円」を、被害額に上乗せすることにした。

 複数の関係者によると、同社幹部が一部の警備会社に対し、口頭で「過去の被害も請求せよ」と指示したとされる。警備会社は「そこまでやれば強要や恐喝に当たる」とメールなどで警告したという。これに対し、トライアルの吉田淳管理本部長は「そのような指示は一切、していない。警備会社側の勘違いだ」と全面的に否定している。(西山良太)

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「police story」のプロフィール

危ないデカさん

新聞社カメラマン14年、記者21年。記者は警視庁捜査1、3課担当、定年前8年間は警察庁を担当した。正義感だけはめっぽう強く、それでいて涙もろい。ドラマや映画を見て良く泣きます。

著書に「落としの金七事件簿」(産経新聞出版)

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